
2005年10月06日 14:16日
去る9/8~13に行われた「岡山国体」の、サッカー少年男子の東京都代表チームのトレーナーとして、当校AT科が帯同しました。
初めての、真剣勝負の場で、当校の学生がどんな体験をし、そこから何を学んできたのか……。日高喬君の日記を、公開していもらいました。
9月11日【日】雨~晴れ
6:20起床、6:30散歩、7:00朝食、9:00出発、11:00アップ、11:50試合開始、14:00終了、15:30帰宿、16:15~トリートメント、18:00夕食、19:10トリートメント、20:30ミーティング、21:20トリートメント、1:30消灯。
今日は三回戦目で勝てばベスト4である。現場についてから雲行きが怪しくなり、アップ終了間近で、急に雨脚が強くなり選手が雨にぬれてしまった。その後急に風が出てきてからだが冷え始めてしまった。アップでせっかく温まったのに冷やしてしまっては意味がないので、体を冷やさないよう注意する。
試合では怪我人が多く、一人重度の外傷を負ってしまった。ピッチ内で足を引きずる選手に対してベンチから出る先生の対応を学ばせてもらった。
結果では1-0で広島県に勝利したが、その選手は試合後病院へ行きジョーンズ骨折【第5中足骨の骨折】と診断された。1回で骨折したかはわからないが、骨折していることは変わらない。その選手はプロでやっている選手であり、高校卒業後もプロでサッカーをしていく選手である。そしてその日に岡山から東京へ戻るよう連絡があった。プロのチームに所属しているため、国体よりも所属チームを優先することになった。
その選手は他の選手の前では明るく振舞っていたが、病院に搬送する際に涙が出ていたという。そのときは先生がついていたので選手に対して精神的なサポートを行い、それに対して選手もプロ意識が高いので前向きに考えるようになったという。
夜のトリートメント後に先生から、『そんなときにお前だったらどう言葉をかける』と言われ、何も答えることができなかった。選手に身近なトレーナーはこんなときこそ選手をサポートし前を向かせることが必要であることを知った。これはトレーナーとしてではなく、人として落ち込んでいる人をサポートできなければならないことを知り、それに対してどれだけ相手のことを思い、尽くしてあげられるかを考えなければならないことである。
9月12日【月】晴れ
今日は千葉との準決勝戦である。ミニ国体で千葉には敗れているので、雪辱を晴らすような試合となる。
今日は晴天で気温を高いためグランド到着後、熱疲労を防止るるためにアイスパックを選手個人で作らせ、テント内にいるときでも体を冷やせるように先生から言われ、指示をした。
試合の結果はロスタイムに1点入れられ、3-2で負けてしまった。
試合後の選手の落ち込み度は激しく、テント内に戻ってからもほぼみんな落ち込んでいた。
明日の3位決定戦があるため、しっかりとダウンをしなければならないが、ダウンを指示しても何人かは椅子から動けないままだった。
何とかしてダウンをするまでにいたったが、何人かは落ち込んだままダウンをしていた。そのときに先生から『明日もあるんだから、明日に向けてしっかりとした気持ちで行えるように選手に言え』と言われ、自分なりに選手に対して声掛けを行っていたが、あまり変わらないものだった。
そのときにチームの中心となる選手から『皆東京の代表なんだから、しっかりとダウンしよーぜ!明日もあるんだから。』と声が上がった。ダウン後は皆立ち直っており、片付けの際には明日に向けて気持ちは動いていた。
前日も途中リタイヤせざるを得ない選手に対して自分の精神的サポート能力のなさを感じたばかりだが、今回の出来事に対しても同じような結果となってしまった。自分は今大会で怒られることも多く、落ち込んでばかりだったが、彼らはそれ以上の落ち込みでもすぐに前向きに対応していた。三つ以上も年下なのに気持ちの差は大きなものがあった。自分はグランドではたいしたことをできなかったことに対して、落ち込んでいるのはもったいないことだと思い、一人一人のトリートメント時に声を掛け、少しでも気持ちが上がるように話すことを心がけた。
帯同指導教官(AT科杉浦主任からのコメント)
「今回日高君を同行させた意義は、まさに彼の日記の中に書かれているようなことを、実体験してもらいたかったからです。つまり、教科書で習っていることは、アスレティック・トレーナーの仕事の中の、ある局面でしかなく、一番大切なのは、相手がどういうふうに思うかということ。
どんなに知識、技術があっても、指導者という立場から、人を動かし、良い方向へ変えられるような言葉を投げかけることが出来るか。プロとしての本当の実力とはどういうことなのか、というようなことを感じてほしかったんです。
それが、国体という真剣勝負の現場で感じ取れたことは、彼にとって非常に良かったと思うし、時には落ち込む気持ちになりかけた時も、選手たちの姿を見て、自分も早く変わっていかなければいけないという前向きな気持ちに、彼がなったということはうれしいし、将来有望だと感じていますね」