Trainer’s eye第5回

2008年08月21日 10:05日

2008年、北京オリンピックも開幕し日本選手団の奮闘ぶりが目立ちます。期待をかけられながら、思うように結果を残せなかった選手も期待以上の頑張りで好成績を収められた選手も、みんな本当に頑張っていると思います。

4年に一度の開催というビッグイベントに合わせて、調整を行って行く難しさを改めて感じさせられます。目標は「オリンピック」としていても、それ以前に数多くの試合が行われていたり、最大目標を逆算してスケジューリングしたりしながら、トレーニング・ゲームに参加していても常に上手く事が運ぶわけではありません。

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まあ、そういう部分も含めて「オリンピック」なのだと思います。だからこそ、ここで結果を残すことに価値があったり意味があったりするのかも知れません。

さて、今回は北島選手の世界新記録と100m平泳ぎ2連覇に敬意を表し「水泳」という競技に注目してみましょう!私自身は、野球を専門としていますが「水泳」という競技自体が野球に通ずるところが多々あるので、結構意識してみている部分もあります。

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水泳に多い故障としては、肩・肘関節の障害、腰痛、膝関節の障害が主なところだと思います。(種目によってその発生部位は変わると思いますが、一般的に見てということです)これには、技術的な要素と環境的な要素が考えられます。環境的な部分としては、単純に考えて水の抵抗を受けるということです。技術的な部分としては、水の抵抗を受ける環境的ものに対応する技術を会得しているか?ということや、疲労の蓄積などによるフォームの悪化が挙げられます。

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上肢を使って水をかく動作には、肩関節の回転運動に対しての肘関節の角度や着水時の前腕の角度などによって肩関節・肘関節にかかるストレスが大きく変化します。その使い方でスピードにも影響があるはずですが、身体に対しての影響も持ち合わせています。野球で言えば、悪い投げ方を続けていくうちに、肩・肘関節に過剰なストレスが加わり肘の内側側副靭帯や肩関節の肩板損傷・上腕二頭筋腱長頭などを傷めるのとほぼ同じです。

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また、上肢の回転運動に伴い体幹を軸にして捻転と下肢のキック動作を行うことで腰背部に相当な負担がかかります。さらに下肢のキック動作では膝関節に相当な負担をかけていることになります。「水の中の競技」ということで、身体にかかる負担は少なく思われがちですが、実際には陸上で行われているスポーツとさほど変わらないということを頭に入れておかなくてはならないでしょう。

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以前、北島選手が肘痛や膝痛・腰痛といった障害に悩まされていたことを考えると、このような環境的プラス技術的な部分でのストレスがかなりのものであったことがうかがえます。トップアスリートであればあるほどこのような障害がつきまとうということを頭に入れて我々トレーナーは活動しなくてはならないのです。

広報室
湘南医療福祉専門学校