トレーナーの現場から 第7回

2009年04月21日 15:18日

9月も後半になり、ようやく涼しさが出てきたようです。夏の暑さから一転して、涼しくなるとなんとなく寂しさを感じてしまうのですが、さらにこの季節になると野球シーズンも佳境を迎え、ヒートアップする一方やはり「もうすぐシーズンも終わりだ」という寂しさも感じる季節です。

そんな季節を迎えるわけですが、アスリートにとってはこれからの時期をどう過ごすか?によって来シーズンの自己成績にも影響が出てきますから、とても大事な季節を迎えることになります。

前回までは、コンディショニングということをテーマにお話してきました。今回は、その一環としてのShoulder ExerciseということでJobe Exerciseについてもう少し突っ込んだお話をしてみようと思います。このExerciseは、これからのオフシーズンでもとても重要なポイントになります。もちろんシーズン中も継続して行うべきExerciseだということは前回までのお話で理解していただけたとは思いますが。

fukablog2-7-01.jpg

Jobe Exerciseは、ローテーターカフ(肩腱板)のトレーニングです。野球だけに限らず、肩関節の回旋運動が多く見られるスポーツでは、その障害発生率は非常に多いと考えられます。例えば、バレーボール・水泳・ソフトボール・ハンドボール等などです。野球界においても肩関節の障害が起きた場合、三角筋や上腕二頭筋・大胸筋などがその原因と考えられていました。

しかし、スポーツ医学の発展とともに肩関節障害のメカニズムが少しずつ明らかになり始め、その障害の大半はローテーターカフにあることが多いということが理解されるようになってきたのです。その障害から回復・復帰させたり障害の予防ということを考え、スポーツ医学の権威であるドクター、フランク・ジョーブが考案したのがこのトレーニング方法です。

fukablog2-7-02.jpg

現在では、米国だけでなく日本の野球界でも全ての選手が行っているトレーニングになりました。前回お話したように、ドジャースでもこのトレーニングを義務化したことにより障害発生率が低下したことを考えると、その効果は絶大と言えます。

さて、そのトレーニング方法ですが。これは、ここに書いたからといってすぐにまねして出来るようなものではありません。私自身、アマチュア野球の現場を訪れJobe EXを行っているところを見たことがありますが、そのほとんどは内容を理解しておらず上辺だけのトレーニングになっていました。このようなことを避けるために、実際のトレーニングでは自分の目の前でなくては行わないようにしています。

fukablog2-7-03.jpg

考え方としては、ローテーターカフ(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)に対して刺激を送り、肩関節の運動を助けるために必要な小さい筋肉を鍛えるということです。つまり、これらの筋肉を鍛えることによって投球時に起こりうる障害を予防できるようになるということで、決してスピードが増すということではないということが理解できるはずです。

投球時のボールのスピードは、円滑な投球動作とその動きに伴う必要な全ての筋群の働きや協調性によって決まります。その動作を行っても故障を起こさない筋力をつけることが目的であるということを覚えておいて下さい。

fukablog2-7-04.jpg

トレーナーとして「Jobe Exercise」のサポートを行うためには、正しい関節の動き方・連動性、トレーニングフォーム・呼吸など色々なチェック項目を把握して選手のためになる指導ができるようになって下さい。知識だけでなく、その情報を相手に正確に伝え行動させることもトレーナーとして重要なポイントです。ということで、やっぱり頑張って勉強しましょうね!

広報室
湘南医療福祉専門学校