トレーナーの現場から 第10回

2009年04月21日 15:21日

2007年もとうとう最後の「トレーナーの現場から」になってしまいました。毎年のことですが、今年もこの時期になると「あっという間に終わってしまう」という感じだけが残ります。

しかし、私にとっての2007年は、色々な意味で良い1年を過ごせたように思います。今年経験できたことをさらに来年以降につなげていけるように努力したいと思います。

ところで、話は思いっきり変わりますが・・・

最近メジャーリーグベースボールに、なにやら不穏な空気が漂っているようです。2008年からは、日本人選手もたくさん海を渡ると言うのに・・・

fukablog2-10-01.jpg

そうです!いわゆる「ステロイド問題」です。

先日MLBの公式サイト(http://www.mlb.com)の中で発表された「ミッチェル レポート」というものがあります。(サイトの中でダウンロードできますから興味のある人は覗いて見て下さい!但し英語です)

fukablog2-10-02.jpg

このレポートを読んでいて衝撃を受けました・・・私の知っている選手たちの名前がたくさん出ているではないですか???しかも、自分が使うだけではなく他の選手にも広めていくような行為までレポートされているなんて・・・本当にショックでした。

確かに野球の世界においては「ステロイド」というものが黙認されてきたような風潮があったと思います。私自身も本当のところはわかりませんが、実際にステロイドを使うことで野球の試合にパワフルさが増し多くの記録が生まれてきたと言っても過言ではないでしょう。

fukablog2-10-03.jpg

一時期低迷していた野球人気も、数多くの記録が競われ生まれることで回復していったということも間違いではないと思います。そんな環境下におかれていたことから黙認されてしまったのではないでしょうか。

しかし、将来のある若いアマチュア選手たちがメジャーのスーパースターを夢見て「ステロイド」を使用し死亡する事件が相次いだことや野球というスポーツがオリンピック競技においてプロ化されていく頃から、この環境に変化が生まれてきたのです。私がアメリカに渡った2002年までは、ドーピング検査自体もメジャーリーグ選手には該当されていませんでした。検査を実施されていたのはマイナーに所属する選手のみだったのです。しかし、キューバをはじめとする野球先進国の代表チームがプロの選手を揃えはじめたことで、アメリカもその流れに乗らざるを得ない状況になり2003年からは、メジャーリーグの選手もドーピング検査を実施されるようになったわけです。

ところが、人間の悲しい性なのか?ルールが作られると必ずそのルールの抜け道を探そうとする人が出てくるのですね・・・そこで考えだされたのが、今話題?となっている「ヒト成長ホルモン」というホルモン剤なのです。ステロイドと違い、ホルモンという盲点を突きドーピング検査にひっかかりづらい優れもの?が出てきてしまったのです。

fukablog2-10-04.jpg

このような薬物問題でスポーツ界が揺れてしまうということは、とても悲しいことだと思います。しかし、これはスポーツ界における選手だけの問題ではありません。スポーツの世界で働く全てのスタッフにも関わる重要な問題であるということを認識しなくてはなりません。

特に、選手のコンディショニングの部分で大いに関わりを持つ我々トレーナーは、この問題を最も深く認識しなくてはならない立場にあるということを理解しなくてはなりません。実際にメジャーリーグでもトレーナーを介して選手に薬物が渡るという最悪の事態も起きているわけですから。

fukablog2-10-05.jpg

トレーナーを目指す皆さんも、単純にトレーナーとしての知識だけでなく「禁止薬物」に対する知識も備えよりナチュラルなコンディショニングの提案をできるように努力してもらいたいと思います。スポーツの試合は、純粋に人間同士の力対力・技術対技術・頭脳対頭脳であって欲しいですからね。だからこそ、トレーナーも選手に対しては「人として」正しく接する方法を身に付けてもらいたいと思います。

広報室
湘南医療福祉専門学校