Trainer`s Report第4回

2009年08月07日 17:20日

今回のレポートは、私が湘南医療福祉専門学校様にお世話になり始めた時から実施している「プロ野球現場見学実習」についてお話します。
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早いもので、今年でもう4回目を迎えました!この実習の目的は「プロ野球の現場においてトレーナーの仕事や行動を実際に見て理解する」ということが一番のテーマです。それに伴い「プロ野球の選手が試合に入るまでをどのように過ごしどのようにコンディションを整えて行くのか?」ということも理解できる良い機会でもあります。
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実際に自分たちが仕事に加われるわけではありませんが、プロのトレーナーの行動を見るだけでも色々なことが学べると思いますこういった機会を今後のトレーナー活動に活かしていって欲しいものです。

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この見学実習の舞台となるのは「東京ヤクルトスワローズの二軍」になりますので、場所は「埼玉県戸田市」にあるスワローズ二軍練習場の戸田球場です。戸田球場は、荒川の河川敷にあり周りには道満グリーンパークという大きな公園が隣接しています。しかし、練習場には野球場とサブグラウンド・陸上競技用トラック(ヤクルト陸上部)・ラグビー場(ヤクルトラグビー部)しかありません。

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このような環境ですから、陽を遮るものはまったく無くさらに埼玉県という非常に気温の高い地域ですので、見学をするだけでも大変な状況に置かれているということは間違いありません。学生の皆さん!本当に毎年御苦労様です!
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さて、本題に戻りましょう。この戸田球場において、午後13時30分から「イースタンリーグ公式戦」が行われます。この試合に先立ち、チームは午前10時から練習を開始します。トレーナーはクラブハウスに朝8時には入り、選手たちのコンディションチェックを行ってから球場に向かいます。
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球場に到着後、速やかに準備を整え練習前の全体ミーティング、ストレッチ、体操に参加し、ウォーミングアップを見ながら選手の動きやしぐさを細かくチェックします。二軍の選手は、体調が悪くてもなかなか本人から申告してこないことが多いのでトレーナーの視点から選手の状態を分析して把握するわけです。
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ウォーミングアップが終わると、投手・野手の二組に分かれそれぞれの専門パートへの練習に移行します。アマチュア野球では、あまり練習を分けて行うことはしませんがプロでは専門分野ごとにコーチが存在しているためさらに細かい練習を行えるようパート毎での練習となるわけです。
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主に投手・野手に分かれますが、野手はさらに捕手・内野手・外野手に分かれ、投手は先発組とリリーフ組に分かれます。また二軍では故障者リストに入っている選手もいますのでリハビリ組にも分かれていきます。
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投手の練習内容は、キャッチボールとランニング・各種エクササイズが主なところですが当日に投げる予定の選手と昨日投げた選手、明日投げる予定の選手ではプログラムの内容は大きく変わります。
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野手は、アップ後にバッティング練習・守備練習・走塁練習とに分かれグループ毎に時間で交代して行います。また専門分野で課せられた各自のテーマ毎の練習も行い、試合に臨んでいきます。ホームの試合前練習は11時30分から12時頃までで終了し、各自昼食を摂りもう一度コンディションチェックを行ってから試合前アップに入ります。
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そして、試合開始!となるわけですね。試合中は、ベンチに入りゲームに出場する選手・控えとして出番を待つ選手に分かれ。二軍では、当日試合に出ない予定の選手たちがスコアをつけたり、スコアボードを手伝ったり、色々な仕事を手分けしてサポートします。このようなサポートをすることで、試合に出なくても必要なことを経験し見て学んで一軍に昇格できるように努力していくことになります。
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このような環境の中で一軍昇格や将来のスーパースターを目指し、努力を続けていく選手たちの健康管理を任されているのがメディカルスタッフでありトレーナーであるわけです。プロ野球という組織においてトレーナーに課せられた責任は非常に重要な要素がたくさんあります。
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一軍では、常に「勝つ・優勝する」ということを目標に選手たちのコンディションを整えていく責任があります。ただ単に日頃の疲れを癒すということではなく、試合において常に最高のパフォーマンスを発揮できるように手助けしていかなくてはなりません。またケガや故障が起きても、すぐに最善の対処をして可能な限り早く復帰させるための活動や行動が求められていくわけです。
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また、二軍では「勝つ」ということよりも、将来自分たちのチームを背負っていくであろう「金の卵たち」の育成をテーマに活動を行っていかなくてはならないのです。一軍選手よりも年齢的には若い選手が多く、肉体的にも精神的にも発展途上の選手たちを預かるわけですから、トレーナーたちメディカルスタッフに負わされる責任は非常に重大だということになりますよね。
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最初に説明した1日の流れはあくまでもトレーナーが活動するにあたって、どのようにサポートしていくのか?という部分での話です。もっと全体を見ていくと、そういう責任の重さということが理解できるのではないでしょうか。トレーナーの仕事は、選手たちの健康管理を主としたサポートだけではありません。二軍ではこのような若い選手たちを育成していく中での仕事になりますから「選手の人間的・社会的教育」という部分にも触れていかなくてはならないのです。
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野球のトレーナーだから野球のことだけわかれば良いということではありません。トレーナーとしてのメディカル・フィジカル的な知識はもちろん、野球というスポーツに精通していきながら尚「社会道徳的」な部分までを身に付けていなくてはならないのが「プロのトレーナー」なのです。
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今回、見学した学生たちもおそらくこの部分までは見れなかったと思います。プロスポーツの現場で見たことはあくまでも表面的な部分だけです。そこからさらに、もう一歩踏み込んだところを知ってもらえればと思います。

広報室
湘南医療福祉専門学校