湘南医療福祉専門学校

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深澤先生のブログ「東洋医学とスポーツ#3」

現在のスポーツ界において「東洋医学」が密接な関係を持ち始めているということが当たり前のようになってきました。
日本、韓国、台湾などのアジア圏の野球界では、当初から「東洋医学」の存在は無くてはならないものだったと言えますが、近年では「西洋医学」が主流であるメジャーリーグでもその存在が必要不可欠なものになろうとしています。

とは言っても、まだまだ完全に信用されているわけではありません。
私が渡米したのが、2002年のシーズンからです。当時私が在籍したロサンゼルス・ドジャースだけでなくヤンキースやジャイアンツなどにも諸先輩方が「東洋医学」を引っ提げ選手たちのサポートをするべくメジャーに挑戦されましたが、現状はクラブハウス内にあるトレーナールームで「鍼治療」や「日本式のスポーツマッサージ」を行うことはあまり好まれませんでした。

選手たちは「東洋医学」の効果を体感しているので、施術を希望することが多いのですがチームドクターやトレーナー・理学療法士たちは「西洋医学」が一番であり「東洋医学」に基づく施術を快く思っていませんでした。
私が聞いた話では、施術を希望する選手がいた場合に球場内の人気の無い場所で隠れながら施術していたそうです。

それが90年代後半の話です。私自身が挑戦した2002年でも、まだそういう風潮は残っていました。
しかし私は運が良かったのか、その時のヘッドトレーナーであるスタン・ジョンストンとアシスタントトレーナーであるマット・ウィルソンは「選手のためになることならどんなものでも取り入れて行こう!」という考えを持っていてくれたことです。

チームドクターは有名な「フランク・ジョーブ」先生です。彼も結果として有効な手段であれば受け入れてくれる大きな器の持ち主でした。
もちろん、私が行う施術の理論や考え方、技術、効果、内容などを先に報告してジョーブ先生の許可をもらう必要はありましたが、それでも私の話に耳を傾けてくれて受け入れてくれたことに感謝しています。

こういう環境に身を置き仕事ができたということは、私にとってとても収穫のある期間でしたが、同時期に某チームで日本人選手とともに挑戦した私の知人は、クラブハウスにさえ入れてもらえず試合が終わってからや試合前に選手の自宅で施術することしかできなかったようです。

今でこそ「東洋医学」をとも受け入れてくれる環境になりつつありますが、まだ「西洋医学」が主であるメジャーリーグのメディカルスタッフたちに「東洋医学」の効果を理解して実践してもらうまでにはもう少し時間が必要かもしれません。
何故なかなか受け入れてもらえないのか?理由はいくつかあります。
一つ目には理論的に理解はできていても明確な根拠となる裏付けが取れないことが挙げられます。西洋医学のように臨床結果から数値的に判断することができたり画像により患部の状態・状況を見る事ができれば良いのですが・・・
またもう一つの理由としては、いわゆる「嫉妬心」です。トレーナーたちは皆、マイナーから下積みを経験し多忙な雑務とメディカルスタッフとしての業務を昼夜問わず行ってきており、その経験と実績を重ねることでメジャーに昇格します。
通常、メジャーリーグでは2人のトレーナーが配置されマイナーでは各クラスに1人しか配置されません。つまり、メジャーに上がるには選手より狭き門なのかもしれませんね。

それだけの苦労と努力を重ねてきているので、いきなり現れた日本人に選手を取られてしまうような妬みの感情が生まれてしまうのでしょう。
言いかえれば、彼らメジャーのメディカルスタッフも「東洋医学」の良さを理解しているのかもしれませんね。

私自身が経験したこととして、最初は興味本位で私の施術を遠くから見ていますがいつしか施術を受けたいという申し出に変わってしまうのです。
特に「鍼治療」に関しては、怖さも持っていますが施術を受けた選手の状態が良くなったとみると「俺も鍼治療してくれ」というようになってしまいます。

のプロ野球中には日本でプレーした経験のある選手が「日本の鍼治療は効果があるよ」という話をしてくれて、その話を聞いた選手が「鍼治療」を求めてくるケースもありました。
こういういわゆる「口コミ」でその良さが伝わることが多いので、選手たちがこぞって施術を希望してくるのです。

結果、アメリカ人のトレーナーたちは面白くありません。
チームメイトですし、決してトレーナーたちを無視しているわけではないのですが、それまで自分達が面倒をみていたのに皆日本人のところに集まってしまう・・・という感情が嫉妬心となり選手たちに近づけないようにしてしまうのです。
このような状況が現実です。その中でも我々は「東洋医学」を「西洋医学」主流のアメリカスポーツの中に広めていかなくてはならないのです。
生半可なことではありませんが、東洋医学に基づく施術は結果として有効な手段になっていますし需要は大きいのです。
私がアメリカにチャレンジした理由としても、西洋医学の対処療法の中に東洋医学を融合すればもっと選手たちのパフォーマンスがあがるであろうという考えがあったからです。

皆さんに世界に行ってくれということではありません。
「東洋医学」にはまだまだ沢山の可能性が秘められているということを認識して欲しいのです。
今しっかりと基本となる知識と技術を身に付け、東洋医学の可能性を無限大に広げて欲しいと思っています。
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