湘南医療福祉専門学校

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深澤先生のブログ「東洋医学とスポーツ#4」

日本のプロスポーツの現場で当たり前のように行われている鍼灸治療ですが、今回はこの鍼灸治療をどのようなタイミングでどのように使っていくのか?ということを私が経験してきた中での話をさせていただきます。

良くスポーツマッサージのような治療は運動前に行うと「マッサージの反応が出てプレー出来なくなってしまう」とか、マッサージでリラックスしてしまい「試合で力が出ない、集中できない」というような話を耳にします。
鍼治療も選手たちのイメージは、施術後に感覚が鈍ったり鍼治療の反応としてダルさを感じるから試合前には受けたくない。という選手が非常に多いと思います。

しかしこれは、どちらも正解であり間違いであると思います。簡単に言ってしまえば、ようは「やり方次第」「テクニック次第」ということです。
マッサージや鍼でもケガや故障の治療として考えアプローチするのか?これから動くための準備としてアプローチするのか?によって変わります。 

こんな時に役立つのが「陰陽説」「五行説」なのだと思います。
治療的に施術するのか?これからの試合に向けてケガを防止するとともに、パフォーマンスを向上させるために施術するのか?皆さんだったらどういう施術を選択しますか?

仮にこれから試合に出ることを想定して、肩関節に鍼治療(あくまでも健常体で筋疲労がみられる場合)を施そうとします。
最初に考えるのは「これから試合」ということです。
つまり疲労により肩関節周囲の筋緊張が現れ関節の可動域が狭くなっている状態を改善して、パフォーマンスを向上させるということです。 

そこから考えると単純に思い浮かぶことは「活性化」させるということですよね。陰陽や刺激量から考えて「活性化」させるという方法を選択するわけです。
「活性化」させるためには筋緊張がみられ可動域が狭くなっている原因を作り出している筋に対し、弱めの刺激量で求心性に鍼を打ちます。 

私の場合、筋緊張を取り除く方法として緊張している筋を意図的に伸展させて、その筋の起始部・停止部・筋腹に鍼を打ち可動域が広がるようにしていきます。
そして念の為にその鍼刺激をさらに緩和させるために散らすための鍼をその筋の走行の遠位部にも打っておきます。

そして鍼の効果を確かめるためのストレッチングを行って確認と選手の感覚をチェックします。さらには、その後簡単な徒手抵抗運動やチューブエクササイズを行って調整していく場合もあります。
このような方法をとれば、特に試合前でも問題なく鍼治療を行いパフォーマンス向上に結び付けられると私は考えアプローチしています。

また状態によりますが、通常の鍼治療だけではもうひとつ効果を感じられない時は「円皮鍼」を使います。「円皮鍼」は貼ったままの状態でもプレーさせることが可能であり、筋肉の状態によっては施術の効果を長時間続けることも可能になります。
ちなみに「皮内鍼」は打つ方向によって、運動中に貼ってある鍼の痛みを感じることが多くスポーツのプレーをするというシーンにおいてはあまりお勧めできません。

このような方法やテクニックを用いれば、特に試合前だから鍼治療を施さない方が良いという考えは否定できます。
あとは、選手たちが持っている固定観念を消し去り安心してプレーしてもらえるようにコミュニケーションを十分にとる必要があります。
運動をしない一般の方々でも施術の際に何の説明もなしに自分の考えを押し付けるようなアプローチをしていては信用も効果も得られません。

スポーツマッサージを施す場合でもどのような施術をしてその期待できる効果や施術後に現れるであろう反応や感覚などの説明をする必要があります。特に鍼治療など道具を使用する場合は尚更ですよね。

今回は、スポーツの現場としてどのようなタイミングでどのような施術が可能なのか?というお話をさせてもらいました。
それでも大切なことは「相手とのコミュニケーション」「お互いの信頼関係」が重要なポイントです。皆さんもこれから資格を取得して実際に施術の現場に立ち実践していきます。
その時に自分の技術に過信することなく「患者様」の気持ちになって施術にあたることを忘れないで下さい。
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