湘南医療福祉専門学校

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深澤先生のブログ「東洋医学とスポーツ♯12」

相変わらず月日の流れは早いもので、今年度のブログも最終回を迎えました。私なりに経験してきたことを東洋医学の鍼灸治療にスポットをあててお話をさせてもらってきました。
実際の内容は、ほぼ野球ネタで皆さんの役に立てているのかどうか?怪しいものです・・・

2014年2月には「ソチ冬季オリンピック」が開催されました。そして2020年には「東京オリンピック」が開催されます。
私の関わってきた野球という競技は、オリンピックから外されてしまいましたが、可能性として東京オリンピックで復活?するかもしれないという淡い期待を寄せています。 

オリンピックと言えば、古くは「参加することに意義がある」と言われ、勝敗よりもオリンピックにおいて世界各国のアスリートたちが、今までの成果を披露し合うという時代がありました。

しかし、近年のオリンピックは「どれだけ多くのメダルを獲得できるのか?」という勝利至上主義的な風潮が強くなっていると思います。
これにはトレーニング科学が発達し、アスリートたちが限界に挑戦しながらさらに記録を狙うという背景があるからではないでしょうか。(他にも政治的、スポンサー的、裏側の思惑がありますが、この件には触れずにいきたいと思います)

無理矢理ですが、こういったアスリートたちのレベル・スキルアップの裏側には「東洋医学」の存在も無視はできないのではないでしょうか?
今までもお話させていただいたように、私の経験してきた野球の世界でも選手たちのコンディション管理の手段として「鍼灸治療」が行われている現状を考えれば、オリンピックを目指すアスリートたちのメンテナンスとして「鍼灸治療」が行われているのは当然です。

実際に私が経験した中では、2名のオリンピックメダリストがいます。二人ともにマラソンの選手で一人は3大会連続で出場し銀メダルと銅メダルを獲得したケニア出身の男性選手で、もう一人は北京オリンピックで金メダルを獲得したルーマニア出身の女性選手です。 

この二人の施術をさせていただいた経験は、今の私にとってとても貴重な経験になりました。今まで自分が診させていただいてきた野球選手たちに比べ、体格も骨格も大きく異なります。
また筋肉の厚み・大きさ・脂肪の量・感覚の違いなどなど、とにかく違う点が多くみられました。  

野球選手が野蛮?だというわけではありません。投手と野手では感覚がまったく変わりますから。それ以上に違う競技特性をまざまざと見せつけられたような感じがしました。
足底の厚みの違い、瞬発的なプレーを要求される野球選手と違う持久的な筋肉の質感、表面的には硬さを感じますが深部では柔軟性に富んでいる筋肉の質。余計な脂肪が削ぎ落とされ、筋肉の起始・停止がわかりやすい走行。 

常に走り続けているため、緊張が普通になってしまっている腸脛靱帯、良い姿勢を保つために筋肉の緊張感が強く表れている股関節周囲・腰背部、そして姿勢維持と腕を振り続けるために発達している広背筋・起立筋群・・・あげれば切りがないほどです。

こんな身体を鍼灸治療でトリートメントするときに気を付けたことが、鍼の刺入の深さ・方向・刺激の量でした。
特に背部に鍼灸治療を行う際には、筋肉は発達しているものの脂肪が少ない分刺入の角度・深さに注意を払わなければなりません。その中で治療効果を高める刺激を加えなくてはならないのです。

先にお話ししたように、野球選手の身体は基本的に厚みがあり、筋肉も大きく太いので通常よりは深く刺入していかないと刺激したポイントに届きません。ですが、ランナーはそのもっと手前にポイントを考えないと効果が出せないばかりか、施術のミスを犯す可能性があるのです。

そんな緊張感の中での施術を経験できたことが、とても貴重な部分です。
この場でこれ以上の詳しいお話が出来ないことが残念ですが、こういったアスリートの施術でも競技によって多くのアプローチの違いがあるということを覚えておいて下さい。

私自身、施術者としてトレーナーとして色々な経験を重ねてきたつもりです。それでも、まだまだ知らない事、分からない事が多くあります。その未知の部分にチャレンジするためにも、その時のために備えるためにも、日々基本を大切に考え実行しています。

これからライセンスを取得する皆さんも、ライセンスが取れたことで終わりではありません。むしろそこからがスタートです。
そして何年、何十年この仕事に従事しても常に基本を大切にし、向上する意欲をもって活動してもらいたいと願います。
常に奢らず、人のために一所懸命仕事ができる施術家になってくれる事を切に願います。
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