湘南医療福祉専門学校

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深澤先生のブログ「Hand of a God#12」が更新されました!

このHand of a Godもいよいよ最終回となってしまいました。当初は私が経験してきたスポーツの現場で起きた外傷・障害に対して、東洋医学をどのように駆使して対処してきたか?を具体例を挙げながらお話させていただくつもりでした。

が・・・しかし結果的に「野球」の話で終わってしまったように思います。なので、ここは開き直ってやはり「野球」の話で強引に押し切ろうと思います。このブログがアップされる頃には、日本プロ野球もシーズンを迎える準備段階でオープン戦に突入していると思います。

一昔前の野球選手たちは「シーズンで活躍してこそプロ」という考えが強く、年末の12月や年明けの1月はゆっくりと静養して新シーズンに臨むというスタンスだったと記憶しています。もちろん2月のキャンプに向けてある程度の身体作りはしていましたが、基本的にはキャンプに入って今年のシーズンを戦う体力作りや技術練習を徹底的に行っていました。

最近の野球選手たちは、この準備にあたる仕掛けが非常に早くなっており、前シーズン終了後に体のオーバーホールを行い11月の後半から来季に向けての体力・筋力作りに入っています。そして、1月にはもう投手として普通にボールが投げられて走れる状態にまで仕上げています。野手は普通に打てる状態にまで仕上げています。

これまでキャンプに入ってから取り組んでいたことを、各自が1月までに終了させて2月1日のキャンプインと同時に野球の試合形式練習ができるようにまでなっているのです。もちろん投手が試合で完投するのに必要な肩作りは、キャンプに入ってから順序立てて行っていきますが、それ以外のことは全て準備万端状態でキャンプを過ごすのがスタンダードになってきているのです。

これは、野球選手がプロとして最高のパフォーマンスを出す!ということと自身の選手寿命を長くするという意識が高いからですね。一昔前のような豪快なパフォーマンスでファンを魅了させるのもプロですが、一年間高いスキルレベルを保ち長年にわたってそのプロフェッショナルなテクニックを披露し結果を出すのもプロならでは、です。

そんな後者のパフォーマンスが近年の選手たちの考えであり、取り組んでいる方法です。一概に全ての選手が!とは言えませんが、一昔前の選手は短い期間で豪快に活躍しプロ生活を終える人が多かったように思います。私がヤクルト球団にお世話になった1994年頃でさえ、30歳中盤を過ぎると引退の声が聞こえ始め、37~38歳くらいで引退する選手が大半でした。しかし、近年は40歳過ぎてもチームの中心選手であり45~46歳くらいまでプレーする選手が増えています。(中日ドラゴンズでエースとしてプレーした山本昌選手は50歳までプレーしました)

プロ野球選手たちの選手寿命が延び、テクニックもスキルもレベルが向上している背景には上記に掲げたような選手としての取り組み方に変化が起きたことやフィジカル・メディカルの影響が強いと考えられます。

以前のプロ野球チームスタッフとして選手たちのコンディショニングに関わってきたいわゆるトレーナーの仕事は「疲労回復」が最大のテーマであり、いかに肉体的疲労を回復させながらシーズンを乗り切っていくのか?ということに集中していたと思います。

しかし、科学的な要素を取り入れ「疲労回復」だけでなく、いかに強靭な肉体や体力、精神力を養っていくか?ということや、外傷・障害に対しての処置やリハビリが充実してきたことにより、健常でのコンディショニング・パフォーマンスを上げていくことに成功したからではないかと私は考えています。

もちろん今でも「疲労回復」は最大のテーマであることに変わりありませんが、ただやみくもに回復させる手段だけでアプローチするのではなく、日常のトレーニング・栄養補給・休養を効率よく行わせ、外傷・障害からの復帰にもリハビリの徹底・治療の徹底・などが理論的に正確に行えるようになったということだと思います。

中でも治療の部分で、単純疲労回復マッサージだけでなく治癒に向けた「鍼灸治療」の確立は大きな影響を与えているはずです。炎症初期から慢性的な故障に対して「鍼灸治療」を施すことで、選手の身体にかかる負担を減らしつつ早期回復に役立っています。また東洋医学だけでなく西洋医学とも融合して、より安全により早く回復させることができるようになっているのです。

私たちは東洋医学の従事者ですから、この分野でのエキスパートでもあり治療に対しては非常に大きな役割を担っています。しかし西洋医学的な物理療法や機能的改善を図るためのアスレティックトレーニングや食事管理も力になっていますし、メンタル的な支えとしても必要な分野です。

このように、西洋や東洋にこだわるのではなく、お互いの良い部分を提供・提案し選手のためにベストな選択をしていくことが大切だと考えます。このような背景も含めて選手の寿命も延びていますし、スキルの向上・テクニックの向上につながりファンの人たちに長く喜んでもらえる状況になってきているのではないでしょうか。繰り返しますが、私は東洋医学の従事者でもあります。でもそこだけにこだわってはいません。東洋医学の良いところを選手に提供できれば嬉しく思います。

そういう位置づけであっても東洋医学を駆使して、選手のためチームのために役立っている現実があるのですから、とても誇りに思っています。これから東洋医学を学ぶ皆さん!自分が学ぶことはとても価値のあるものだということは誇りに思ってください!でもより良いものを見つけて人のためになろうと思うのであれば、より多くのことを知り・学び・経験して、使える知識や技術に結び付けてください。

そうすればあなたも将来は「God Hand」と呼ばれるはずです!
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