第12回 More than just vigor

2013年03月13日 14:49日

More than just vigor も最終回になってしまいました。
今回は毎年恒例となりつつある「東京マラソン」に関わるお話をさせていただきます。

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2007年から始まった「東京マラソン」ですが、我々の会社「ルートヴィガー」では大塚製薬さんのご厚意により「東京マラソン」に大塚製薬さんの招待で走られるランナーの方々に対してのトレーナー活動を2008年の第2回大会から携わらせていただいています。

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過去「東京マラソン」は比較的天候に恵まれず・・・今年で7回行われた大会中「好天」に恵まれたのは2回程度・・・と記憶しています。
(ちなみに私自身走らせていただいた、2010年は雨天スタート・・・気温はぐぐっと下がり途中ミゾレ・・・最後に少し太陽が出た・・・最悪の天候でした・・・日頃の行いが良いので!)

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まあそんなことはどうでも良いのですが、このように非常に天候が安定しない時期に開催されています。通常我々はランナーのサポートとしてスタート前のウォーミングアップのお手伝いや、ゴール後の回復のためのお手伝いをさせていただいています。
しかし、こういうサポートだけでなく「天候によるコンディション不良」の対処も必要な状況になってきているのです。

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2013年の箱根駅伝では、強風の影響により低体温症に陥りリタイアした大学が2校もありました。(しかも我が母校、城西大学もです・・・)

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単純にマラソンのようなスポーツで注意しておかなくてはならない内科的な疾患として「脱水症」「熱中症」「低体温症」などが挙げられます。
走るための準備として日々のコンディショニングを大切にしなくてはなりませんが、内科的疾患も頭に入れて活動しなくてはならないのです。

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皆さんのイメージとして、暑い時に水分補給が的確に行えず熱中症と脱水症を起こすということは直ぐに思い浮かぶのではないでしょうか。
しかし、寒い時期でも低体温症と脱水症が同時に起こる可能性があるということも覚えておいて下さい。

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2010年の私が参加した大会でも、気温が低下して寒さとの戦いでした。しかも雨に濡れ体感温度はさらに低下していたと思います。
こういう状況ではランナーの体調と感覚として「走っても走っても身体が温まらず、水分は摂りたくない」という心理が働きます。実際にフルマラソンを走っているのに「汗ひとつ」出ないのです。水分を摂ると尿意をもよおしやすくなるのでできるだけ摂りたくないのです。
でも冷えた身体に走っていて冷たい風があたることで、身体中の熱が奪われ筋痙攣が起きてきます。
私にはある程度の医学的知識があったのでこういう状況の時に最低限必要な水分と栄養補給を行い、冷えた身体と痙攣を起こしている筋肉を擦って温めたり途中途中ストレッチしてのばしたりと対処することが出来、なんとか完走することができました。

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しかし、この年98%の完走率を誇る東京マラソンも悪天候の影響を受けて92%程度まで完走率が低下したと聞きました。
そのほとんどが、低体温症の発症とともに脱水症を起こしたということです。

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今回の2013年でも、我々がサポートさせていただいたランナー約250名の中で1名のランナーがゴール後「低体温症」を発症し「脱水症」を併発していました。
四肢の体温は低下し筋痙攣を起こし顔色も蒼白でした。担当したスタッフが「低体温症」を見抜くことが出来ず、ゴール後に通常の処置をしていたところ「嘔吐」してしまったのです。

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低体温から回復しようとする生理現象として体温の急激な上昇に伴って血圧に変化が現れます。この時に身体にかかる負担は予想以上です。
こういう変化に身体が対応できず「嘔吐」してしまうのです。その後も体温が安定せず2~3度の嘔吐が続き、ミネラル分の補給と毛布にくるみ身体を擦って温めてようやく正常な体温に近づいてきて、歩行可能となり笑顔もみられるようにはなりましたが、まだ脱水症の影響も続いており安心できない状況ではありました。

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その後は、水分と栄養の補給を指示し毛布で温めた状態のまま病院に搬送されたのです。このような症状を現場で全て対処することは危険です。
ある程度の改善がみられたら、最終的には医療機関で対応してもらうことが大切です。

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楽しいはずの「マラソン」が、的確な体調管理を行えないことで「最悪」の状況を生んでしまうということを覚えておいて下さい。
スポーツの現場だけでなく「治療院」での施術でも健康・体調管理を甘く見て的確な対応が出来ていないと同様のことが起こる可能性があります。
単純に治療を受けに来て下さる患者様でも、その日の体調や天候などによって思いがけない内科的疾患を持ってしまっているケースもあるのです。

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我々トレーナーだけでなく、鍼灸治療家、施術者であっても「患者様の健康」を預かる以上、また自分たちの身を守る意味においても常に患者様の体調に注意を払い些細なサインをも見落とさないように対応するべきです。
スポーツの現場だから「整形外科的な知識」だけで良いというわけではありません。「内科的な知識」「生理学」もとても重要なのです。東洋療法を行っているから「東洋医学的な知識」だけで良いというわけでもありません。「西洋医学的」な知識も重要なのです。

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我々は、常に人の為に最善を尽くす仕事です。その為には「これだけで良い」というものはありません。いつも多くのことを学び知り引き出しを多く持つべきなのです。
私たち「ルートヴィガー」のスタッフも私を含め、この東京マラソンで起こったことからより多くのことを学び、経験として活かして行かなくてはならないと改めて感じました。

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皆さんも患者様のため、自分のためにも「もっともっと勉強して」常に最善を尽くせる準備を整えておいて下さい!

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一年間ありがとうございました!また4月にお会いしましょう!

広報室
湘南医療福祉専門学校